業界再編

コンビニ業界再編M&Aの歴史

はじめに

 

我々の身近に存在し、生活インフラとなっているコンビニエンスストア。セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートと、今日ではこの3社の赤、青、緑の色彩豊かな店舗を日本のいたるところで見かけます。

 

しかし10年前、あるいは20年前を思い出してみるといかがでしょうか。もっといろいろな店名の店舗があったような気がしませんか? 一昔前にはこの3社以外にもたしかに存在したコンビニチェーン。いったいなぜ3社に集約されてしまったのでしょうか。

 

本記事では、コンビニ業界M&Aの歴史について解説しています。M&Aにより再編が進んだ業界を見ることで、ご自身の業界の先行きを考える契機としていただければ幸いです。

 

コンビニ業界のいま

 

コンビニ業界の大手シェアは90%以上

 

コンビニ業界のM&Aの歴史を振り返る前に、コンビニ業界の現状を見てみましょう。コンビニ業界は大手が市場の売上シェア99%以上を占める寡占状態の業界です。

 

冒頭にも記載したセブンイレブン(セブン&アイ・HD)、ローソン、ファミリーマートでシェア92%、業界4~7位の(ミニストップ、スリーエフ、山崎製パン、ポプラ)まで入れると99%にもなります。これほど寡占化が進んでいる業界は珍しく、日本においてはコンビニ業界の他に、家電量販店、ビール業界などがあげられます。

 

コンビニ業界は再編が完了した業界

 

こういった大手が市場の売上シェアを寡占している状態を、我々業界再編部では「再編が完了した業界」と定義しています。競争による市場淘汰、あるいはM&Aによって合従連衡が繰り返された結果、このような大手グループの寡占状態が形成されるのです。

 

再編が完了した業界では大型のM&Aが起こる

 

このような再編が完了した業界では、大型のM&Aが生じる傾向にあります。大手同士がシェアの奪い合いをするのではなく、手を組むことによって業界での生き残りを図っていく、そのようなM&Aが大手同士の間で生じます。

 

例えば、2014年のローソンによる成城石井のM&Aや2016年のファミマによるサークルKのM&Aは記憶に新しいでしょう。

 

コンビニ業界再編M&Aの歴史

 

今ではこのように誰しも名前を知る企業同士の大型M&Aが中心となったコンビニ業界ですが、どのような歴史を経ていまの形になったのでしょうか。コンビニ業界M&Aの歴史を振り返りたいと思います。

 

コンビニ業界再編M&Aのはじまり

 

コンビニ業界のM&Aの歴史の前に、簡単にコンビニ業界自体の歴史をおさらいしておきましょう。コンビニ業界の黎明期は1960~70年代と言われています。セブンイレブンが1号店を出店したのも70年代のこと。ローソン、ファミリーマートも70年代に1号店を出店しています。80年代には様々なコンビニチェーンが誕生し、コンビニ業界は隆盛を極めていきます。

 

60年代には数十店舗だったコンビニエンスストアは、1990年には約18,000店舗にまで急増し、2000年には約40,000店舗まで達しました。ここから店舗数の伸びは大きく鈍化していきます(2019年現在では約60,000店舗)。

このような店舗数の急拡大の中で生じたのがM&Aによる業界再編です。このように業界が成長期から成熟期へ移行する局面では、再編型のM&Aが生じやすい傾向にあります。

 

1996年にはローソンが島根・鳥取を中心に展開をしていた売上高46億円のエーアンドビーをM&Aしました。これによりローソンは商圏の拡大を実現します。1998年にはポプラがパスコリテール、ハイリテイルシステムという2社をM&Aしています。いずれも関東地区で約40店舗、70店舗を展開していたコンビニチェーンでした。

 

コンビニ業界M&Aの最盛期

 

2000年代以降は、M&Aの規模がより大型化していきます。ココストアは2001年に、九州全域で展開していた地場の有力コンビニチェーン「エブリワン」をM&A。2002年には茨城県で約400店舗を展開していた「ホットスパー」を傘下に迎え入れました。

 

しかし、2008年以降はこのようにM&Aによって巨大化したコンビニチェーンすらも、買われる側となる大型再編の時代を迎えます。

 

2008年には100円ショップの安さとコンビニの便利さを兼ね備えたコンビニチェーン「SHOP99」を運営していた「九九プラス」を、ローソンが子会社化し、後に「ローソン100」と店名を変更しました。また2009年には、約1,200店舗も展開していた「am/pm」もファミリーマートの傘下に入り、世間を騒がせました。

 

M&Aを繰り返し、規模を拡大していたココストアも2015年にファミリーマートにM&Aされ、2016年10月を最後に「ココストア」という店名は日本のコンビニ市場から消え去っています。

 

M&Aによってコンビニの業界地図はどのように変化したか

2008年以降のコンビニ業界は、セブンイレブンの出店攻勢と、ローソンやファミリーマートら大手コンビニチェーンがそれに対抗すべく行ったM&Aという図式で整理することができます。

 

冒頭にも記載した通り、大手の売上シェアが増えてくると次は大手同士のM&Aが生じ、業界大手3~4社に集約されていくのです。

 

2016年にファミリーマートとのM&Aを選択したサークルKサンクスの土方清社長は、2004年にサークルKとサンクスがM&Aを行った際の新聞取材でこのような言葉を残されています。

 

「イス取りゲームに残った席はせいぜい3つか4つ」

 

業界の中で最後に生き残るために、どこと手を組むか。コンビニ業界のM&Aは生き残り戦略に非常に重要な示唆を与えてくれています。

 


日本M&Aセンター 業界再編部 松岡 弘仁

1993年10月、熊本県生まれ。東京大学法学部卒業後、株式会社日本M&Aセンターに入社。入社以来、食品業界専門チームにて食品業界の再編に取り組む。現在は主に外食業を中心に、食品製造・食品小売などのM&Aに携わる。