業界再編

ホームセンター業界再編M&Aの歴史と展望

業界の動向について

 

急激に変化する消費者、変化の対応に追われる業界

 

ホームセンター業界の成長鈍化には消費者側に生じた大きな変化も起因しています。

日本国内における人口減少や少子高齢化、そして都心回帰により都市部への人口集中が進んでいます。

本来、郊外に大きな施設を構えることで充実した商材種類の販売を可能とし消費者のニーズに応じる形で成長してきたホームセンター業界ですが、人口が都市部に集中し、郊外へ足を運ぶ消費者数が激減し、店舗での売上高も比例して激減しています。これに追い打ちをかけるのがオンラインショップの存在です。

 

従来豊富な品揃えが強みであったホームセンターの店舗よりも、近年ではオンラインショップの方が品揃えが圧倒的によく、また在庫不足も基本的には生じないため、消費者にとっては圧倒的にオンラインショップの利便性が勝り、ホームセンターの店舗は非常に厳しい状況に立たされています。

 

都市部への人口集中はによる戸建て住宅需要の激減も、ホームセンター業界の縮小の要因の一つです。元々戸建て住宅のDIY(Do It Yourself)関連商品がホームセンターでの売り上げの主力であり、実際、市場規模約4兆円のうち約3兆円が戸建て住宅向けDIY関連商品です。

 

ホームセンター業界の主力商品である戸建住宅向け商品の需要が少ないマンション居住人口が増加するということは、ホームセンターの主力製品が必要とされる割合が減少するということであり、市場規模の急速な縮小の主な要因となっているのです。

 

差別化が出来ない各社

 

先に述べた通り、ホームセンター業界売り上げのうち主力となるのは戸建て住宅のDIY関連商品であり、その規模は約3兆円程度です。このDIY関連商品はそもそも用途が明確であり、従って各商品の機能は単純なものとなる為、差別化が非常に難しく、ホームセンター業界各社の取り扱う商材は消費者のニーズに応じれば応じるほど均一なものとなりがちです。

 

各企業はプライベートブランドの展開など、各々得意商材の展開を見せたものの、結局は同じ消費者のニーズを取り込むため、やはり商品やサービスでの決定的な差別化は進んでいないと言えるでしょう。

 

ホームセンター市場の成長止まりと合従連衡による市場再構築

 

ホームセンター業界の創成期から現在

 

ホームセンター業界は1970年代にブームが起こり、70年代後半に次々と現在の売上上位を占める大手企業の参入が相次ぎました。そこから2005年頃まで順調に市場は成長を果たし、その規模は約4兆円まで大きくなりました。

 

しかし2005年の4兆円をピークに、以降顕著な変動を見せることなく安定的に推移しています。安定に推移しているということは市場の成長が鈍化しているということであり、業界そのものの成長を実現するため今までにない起爆剤となる革新を起こすか、各社が自社の成長のためにシェアを奪い合うしかありません。

 

年間売上が1,500億円を超えるような大手ホームセンターの市場シェアは大きいものの、上位4社のシェアを見ても、各社10%から15%程度であり、4社合計のシェアは市場全体の40%にも満たない程度です。ですから今後寡占化が進み、大手の占めるシェアは伸びていくと予想しています。

 

しかし消費者が減少し市場自体が縮小する中でのシェア争いは価格競争に繋がり、ひいてはそれが商品やサービスの質低下という事態を作り出し、企業側も低い収益性、消費者側も低い質の商品を享受する状況が起こってしまいます。

 

この状況を変化させ、市場を成長させるためには、ホームセンター業界の各企業が競争するのではなく、協調することが必要です。

実際にかつての競合企業同士が手を取り合う資本業務提携が多く実行されています。それは単純な既存シェアの獲得ではなく、業界そのもの成長に向けた合理的な判断として、必要不可欠な動きとして広がっています。

 

競合企業の協調が生む企業の力

 

前述の資本業務提携は既に当然に実施されている必須の戦略であり、ホームセンター業界の最大手であるDCMホールディングスは実際に、カーマとダイキが業務提携を実施し、その後、それにホーマックが合併を実施することで誕生した企業グループです。

 

元々カーマは中部地方、一方ダイキは中四国地方と近畿地方、そしてホーマックは北海道と各社別地域にて店舗展開していました。地域のメジャー企業同士が手を取り合ったこの「協調」が3社の成長と存続を実現させました。

 

市場存続の為に必要な合従連衡、業界再編

 

複数企業が資本提携業務提携により手を取り合うことは、単なる売り上げの拡大だけにとどまりません。商品種類や提供サービス、そして仕入れルート等は勿論のこと、各企業の成長戦略の構想、その為に必要な経営資源を1つの組織として共有できることは、非常に有益なものとなります。

 

業界の課題を解決する為、そして何より消費者により良い暮らしを提供する為に、地域や商材そして提供サービスの垣根を超えた展開を取ることが重要です。

 

今ホームセンター企業に求められることは競争ではなく協業であり、合従連衡を取るべき更なる業界再編が必要とされています。現実にホームセンター企業同士のM&A、不採算店舗の切り離し、またリフォーム事業など関連業種の譲受等、親和性のある企業間でのM&Aによる資本提携が多く行われています。

 

M&Aがもたらす新しい希望

 

競争ではなく協調という合従連衡により、より大きな組織体制と経営資源を作り出すことは、新規マーケットの開拓にもつながります。

 

実際、コメリが農業業界に進出し、コーナンが一般家庭ではなく、専門的な職人向け事業の展開を進めるという取り組みが行われています。

他業界の大手企業と対峙することが出来る規模の組織体制と経営資源があれば、DIY関連以外のリフォーム等の業界に市場を拡大することが可能となるほか、海外展開などの新分野の開拓もできます。

 

このように、業界再編が他業種への進出や国外への進出を実現させるために必要なのです。

 


日本M&Aセンター 業界再編部 高山 義弘
同志社大学商学部卒業。在学中は、外食事業会社の立ち上げに参画し、取締役として約8年間企業経営に携わる。親族に経営承継をし、2012年公認会計士試験合格、翌年より大手監査法人にて証券会社及びPEファンドの財務監査及び内部統制助言業務に携わる。その後大手M&Aアドバイザリー会社にて不動産業界におけるM&Aコンサルタントの経験を得て日本M&Aセンターに入社。