業界再編

銀行業界再編M&Aの歴史

再編が進む銀行業界の背景

銀行業界再編の始まり

1996年には銀行、信金、信組合わせて約1,000社あった銀行業界は、金融ビッグバンと呼ばれる規制緩和により自由な金融市場を加速させる動きによって大きな転換期を迎えます。

 

その後、異業種の参入やグループの再編などを経て、現在銀行数は約500社しかありません。20年前の約半数と考えていいでしょう。

 

地域経済の縮小に伴う、地銀の収入源の確保の難しさ

2015年時点で5,846万人いた就業人口は2040年には4,598万人になり21%減、403万社あった企業数は296万社になり27%減、と予測されています。地方での人口減少は国内さらに顕著になるでしょう。

 

地域経済に密接に関わる業態の地銀は地域にある中小企業や個人への融資の役割を担っています。人口減少の進行に伴う顧客数や資金需要の減少を背景にして、地銀は厳しい経営環境に立たされています。人口減少の打撃をもろに受けるのが銀行業界なのです。

 

さらに首を絞めるマイナス金利政策

日銀が2016年に発表したマイナス金利政策によって、さらに銀行業界は追い込まれてしまいました。主力事業である貸出業務で利ざやが逆転する現象が起き、利益を出すことが非常に難しい構造になっています。

 

この政策の狙いとしては、銀行同士を合併させることで、国内のオーバーバンキング問題を解決しようとしているのです。地域金融機関の統合は不可欠といった結論を出しており、地銀は再編の方向に向かわざるを得ない状況といえるでしょう。

 

スルガ銀行の不正融資問題の背景

記憶に新しいスルガ銀行の不正融資問題も、地銀が置かれている環境と密接に関わっています。

 

スルガ銀行はもともと他の地銀に比べて高い収益率を誇り、金融庁からも高い評価を受けていました。しかしその実態は、目先の利益を優先するため、シェアハウスなど個人向け不動産融資において多くの不正を行っていたというものでした。

 

地銀はどこも苦境に立たされていますが、追い込まれて間違った策に走った結果スルガ銀行の問題が起きてしまったのです。

 

 

困難極める地方銀行の今後とは

それでは、今まで述べてきたような厳しい状況の中で、地銀はいかにして生き残れば良いのでしょうか。

 

本業の融資業務からの転換

全国の地銀はいかに収益を確保していくかに四苦八苦しています。保険商品や投資信託の販売個人向けのカードローン、アパートローン等の不動産投資、等の他の業務に融資業務から軸を移し、稼げる分野へと移行しています。

 

伝統的ビジネスモデルと決別し、他の分野にも人材を投入し、収益構造の改革を試みている事例も目立ってきていますが、今後さらなる改革が必要不可欠です。

 

新技術の導入のためのM&A

Fintechやビックデータ、AI、ブロックチェーン等の新技術を導入する銀行も出てくるでしょう。特にFintechは地銀などの金融機関において脅威にもなりえますが、手を組めば既存のビジネスを補完・強化し、他の銀行に大きくリードすることができます。

 

異業種から技術を得るための地銀とFintechベンチャー等のM&Aも増えていくと考えられます。

 

常陽銀行の経営統合

先日6/12に、全国地方銀行協会の笹島律夫会長(常陽銀行頭取)は会見の中で、「経営統合は、個別行における将来を見据えた戦略を実現するための一つの手段だ」として、地銀の再編を促す枠組みが改めて地銀協会の会長から示されました。

 

常陽銀行は3年前に足利ホールディングスとの経営統合を発表し、現在はめぶきフィナンシャルグループという形で運営しています。

 

地方経済の縮小や金融機関同士の過当競争などの環境変化を見据えつつ、隣接する茨城・栃木の両県での経営統合を図った代表的な事例です。

 

隣接する地域のリーディングバンク同士の統合によって形成される広大なネットワークは大きな強みとなっています。

 

まとめ

いずれにしても地銀は厳しい状況が続き、抜本的な収益構造改革が必要とされています。

預金を預かっている以上、一般企業のように苦しければ廃業、というわけにはいかず、救済合併の選択肢しかありません。今後も業界の動向について目が離せません。