業界再編調剤薬局

調剤薬局業界でM&Aが起こる理由①

全国に約5.8万店舗と、コンビニエンスストアと同等の店舗数を誇る調剤薬局業界。今、この業界は「再編時代」といえるほど、活発にM&Aが行われ、業界再編が進んでいる。激しい変化はなぜ起こっているのか。

 

調剤薬局の間でM&Aが行われるようになったのはおよそ16年前のことである。当時年商200億円程度であったアインファーマシーズが年商100億円の今川薬局と一緒になったことが、調剤薬局業界におけるM&Aのスタートであった。特徴としては「業界大手同士」「M&A後も看板はそのまま(約15年かけてようやく看板を変えた。)」「傘下に入るわけではなく一緒に経営していく」という3つが挙げられる。本件M&Aを皮切りに、調剤薬局業界の上位企業のM&Aは加速していった。

 

そもそも調剤薬局がM&Aに乗り出す理由は、大きく分けて3つある。「業界の特性」「売り手側の事情」「買い手側の事情」から、M&Aをする必要が生じる。

 

まず1つ目の「業界の特性」であるが、調剤薬局は「1人の薬剤師が地元の町で1つの薬局を守る」というスタイルが圧倒的に多い業界である。ただ、このスタイルでは調剤も事務も事務所運営もすべてを少人数で担わなければならない。

 

つまり、人手も資本も限られているため薬価改定などの外的要因に応じて経営を効率化するのは難しいのである。さらに、地域医療に貢献しようとしても、薬剤師の教育や在宅医療などには手を回す時間がなく、質の高い医療の提供がなかなかできないといった悩みを抱えている調剤薬局のオーナーは非常に多い。

 

一方、一定以上の事業規模があれば、「規模の経済」が機能し、経営も効率化させやすくなる。複数の薬局を抱えていれば、どこかの薬局が災害で被災しても、別の薬局から「ヒト・モノ・カネ」の支援を受け、素早く運営を開催することができる。薬剤師が急に退職した場合でも社内で人をやりくりし、運営を継続することができる。

 

すなわち、一定の規模があれば万一の事態にも対応がしやすいのだ。仕事を変わってくれる同僚がいれば長期休みを取りやすくなるため、社員への福利厚生も規模が大きい組織であるほど充実させやすくなるといえる。さらに、大手調剤グループには研修施設もあり、教育プログラムがきちんと整えられているため、「質の高い医療」を提供したいといった調剤薬局オーナーの希望を叶えることができるのだ。

 

(次回へ続く)