調剤薬局

法改正による調剤薬局の加速する業界再編(その中で、必要とされる薬剤師の存在)

近年、調剤薬局の業界再編はますます加速している。2年に1度行われる調剤報酬改定によって、調剤薬局の運営を行い、且つ継続して安定した収益を出すことは非常に難しくなっている。しかし、これは中・小規模調剤薬局に限ったことではなく、大手調剤薬局も対象である。大手調剤薬局6社は、過去5年間に200店舗を閉店している。すなわち不採算店の整理を行っておりその中には面対応・コンビニ併設店といった新型調剤薬局も含まれる。今後も店舗数を閉店させる傾向は強まるのは明確であると考えられる。このような状況で、M&Aの手法も徐々に変化をしている。

 

変化するM&Aの手法

 

以前は大手調剤薬局が、M&Aにより中・小規模調剤薬局をグループ傘下に加える方法が一般的であった。しかし、近年、その手法が徐々に変化している。過去に大手調剤薬局に譲渡した企業が譲受企業になっているのだ。大手調剤薬局とM&Aを実行し、グループ傘下に入った調剤薬局が規模の利益を享受し、地場での店舗数拡大を行うというものである。大手調剤薬局のグループに参画するメリットとしては、大きく2点ある。①企業経営における豊富な資金の獲得が可能であること、②企業ブランドを活かした薬剤師確保が可能であること、という2点である。

 

なぜ、M&Aによる店舗出店が加速するのか

 

以前のコラムで安藤が紹介している様に、新規出店を行う場合、薬剤師の確保が必要であり、年間で10店舗の出店を行った場合に管理薬剤師を含め、少なくとも20名以上の常勤薬剤師の新規確保が必要である。さらに、パート薬剤師・医療事務スタッフの確保も行うとなると、採用費用、スタッフ研修の実施等の膨大な費用と時間を有することになる。それに対し、M&Aによる出店のメリットは大きく2つあり、①新規薬剤師や医療事務スタッフの確保の必要性がないこと、②数字新規出店に対して、安定的な売上を確保できるという点である。一般的にM&Aにより譲渡した企業のスタッフはリストラされ企業文化は一新される、というイメージがあるかもれない。しかし、最近の調剤薬局業界におけるM&Aの傾向としては正反対であり、譲渡企業の人材や文化は貴重な財産であり、継続して雇用・維持することが通常である。つまり、譲渡前後での環境は何も変わらないのである。

 

その中でも必要とされる薬剤師

 

譲渡企業のオーナーは譲渡後、退任を希望する者もいるが、譲受企業としては、顧問契約等により、継続勤務を希望する場合が多い。もちろん、譲渡時のオーナーの年齢にもよるが、近年では譲渡オーナーの若年化も理由の1つである。譲受企業にとって継続雇用のメリットは、長年管理薬剤師としての調剤業務における知見と経営・計数人員管理能力の2つを持ち合わせている点である。今後も、法改正により調剤薬局業界の業界再編のスピードは加速の一途をたどると予測される。こうした傾向の中、管理薬剤師としての調剤業務とオーナーとしての経営・管理業務を兼務した薬剤師は大変重宝される存在であるのは明らかである。業績悪化や年齢などによりM&A後は退任するというオーナーの譲渡相談に加えて、自らが経営してきた調剤薬局の更なる発展と、自身のキャリアアップも含めた戦略的M&Aによる譲渡も今後はますます増加すると考えられる。