調剤薬局

在宅医療への取り組み

“ウチは処方箋の枚数も多いので、今無理に在宅に手を出す必要はない“

このように考える薬局経営者は多いことだろう。しかし果たしてその判断は本当に正しいのだろうか?

医薬分業の加速

2015年6月30日、内閣府経済財政諮問会議において「骨太の方針」の決定が成された。以下は要点の抜粋である。

“平成28 年度診療報酬改定において、調剤報酬について、保険薬局の収益状況を踏まえつつ、医薬分業の下での調剤技術料・薬学管理料の妥当性、保険薬局の果たしている役割について検証した上で、服薬管理や在宅医療等への貢献度による評価や適正化を行い、患者本位の医薬分業の実現に向けた見直しを行う。”

ここでのポイントは
1.在宅療養を支援する薬局における基準加算(基準調剤加算2)が増加すること
2.在宅患者訪問薬剤管理指導料が増加すること
という2点である。つまり在宅医療への加算は更に大きく改定される見通しが強い。

ビジネスモデルの変化

一つ確実に言えることは、ビジネスモデル(収益構造)が変化するということである。病院周辺に立地し一定数の処方箋を確保すれば大きな利益を生み出せる時代は、既に終わりを迎えつつある。今後は在宅医療への対応を中心として、調剤薬局が主体的に行動することが求められる。

現行制度と将来制度でのジレンマ

しかし、多くの薬局にとって在宅医療に取り組むことは並大抵のことではない。薬剤師の処方箋枚数制限などにより、処方箋枚数が多い薬局ほど通常の調剤業務に携わる時間は増える。また、小規模な調剤薬局ではそもそも在宅に充てられるだけの薬剤師を確保するのが難しいだろう。結局、将来的な診療報酬の変化に対応できるのは限られた大手調剤薬局だけになってしまう公算が高い。

売り手主体の戦略的M&A

M&Aと言えば買い手が主体となって売り手を買収するイメージが強い。しかし昨今、小規模薬局が売り手として、能動的に大手薬局チェーン傘下に入るケースが目立ってきている。戦略的に合従連衡し、時代の変化を乗り越えるという試みだ。変化に対応するためには早目早目に対応策を考えなくてはならない。今回の骨太の方針の決定は、薬剤師と資本を確保するためのM&Aの引き金となるだろう。来るべき診療報酬の改定への備え、ひいては在宅医療への備えを今のうちから取り組まなくてはならない。近い将来この変化に適応できない調剤薬局は淘汰されることになるだろう。制度変更による薬局業界の再編は待ったなしで進んでいる。