調剤薬局

【調剤薬局経営者向け】新卒薬剤師は、何を求めるのか

アインHD、5日に行われた内定式に過去最多の600名を超える薬剤師

10月3日の日経新聞に掲載のニュースである。紙面によると、同社は薬剤師として400人の採用を予定していたが、5日からの内定式には、600人を超える薬剤師の内定者が参加したようだ。

 

アインHDだけではなく、大手調剤チェーンといわれている各社に我々は今回の内定者数をヒアリングしたところ、(非公表事実のため社名は控えるが)389人、350人、205人、129人と数百人単位で内定を出していた。また、大手調剤の多くは、アインHDのように昨年よりも内定者を増やしていた。

 

一方で、準大手と言われる100~200店舗クラスの中堅薬局チェーンや、50店舗以下の特定のエリアでドミナント展開している地域薬局にヒアリングしたところ多いところで16人であり、ほとんどは5人以下であった。

 

 

新卒薬剤師の7割弱が大手調剤・大手ドラッグへ

 

薬学教育協議会のデータによると、2018年3月に6学制学科の卒業生のうち薬局に就職したのは3,475名(36.3%)、ドラッグストアなどの一般販売業に就職したのが866人(9.0%)であり、合わせて4,341人であった。

 

主要チェーンの2019年度春入社の薬剤師は、14社で2,900名であり約7割を占めている。つまり残りの約1,400名の新卒薬剤師を、約25,000法人で分け合わないといけない。我々が全国の薬局オーナー様とお話させていただく中で、一番の経営課題に薬剤師の採用難を抱えるのも頷ける。店舗数では数倍しか変わらないのに、採用力は100倍近く差が出ているのはなぜであろうか。
(卒業生の就職先情報は、2018年度のデータであるが、2019年度の全体の人数とさほど変わらないのでそのまま引用した。)

 

【出典】一般社団法人薬学教育協議会「就職動向調査結果報告書」 

 

やはり安定志向が根強い傾向

2020年卒マイナビ大学生就職意識調査によると、企業選択のポイントにおいて、1位は「安定している会社」(39.6%、前年比6.6pt増)。2位が、「自分のやりたい仕事(職種)ができる会社」(35.7%、前年比2.4pt減)。3位には「給料の良い会社」(19.0%、前年比3.6pt増)が続いている。

世の中的にも、安定志向の学生が多いのは事実であり、薬剤師も例外ではないと考えるのが普通であろう。

また、特に薬剤師の場合には学生自身の安定志向は勿論のこと、近年無視できなくなっているのは大手企業志向の親世代が子どもの就活に介入することである。私立だと卒業までに1,000万以上と、多額の学費を援助してもらった両親に対しての責任を果たすといった意味合いもあるのではなかろうか。

 

薬剤師に求められる独自性

 

現在、厚生労働省は薬局に対して、役割ごとに分類する法案が検討されている。”通常の薬局”、”地域密着型”、”高度薬学管理型”の3つに分かれ、それぞれに期待される役割を果たしていくことになるであろう。

 

これは薬剤師にも、同じことがいえるのではなかろうか。高度薬学管理型薬局に必要な“高い専門性を持つ薬学のスペシャリスト”になるのか、地域密着型薬局に必要な“一般的な薬の知識だけではなく、緩和ケア・介護といった知識を有し、服薬や健康全般に関する悩みを解決する能力を有する医師よりも近い存在”になるのか。このように、薬局の変化とともに薬剤師も単に免許をもって安心するのではなく、今後生き残っていくために独自性が求められる時代に突入した。

 

独自性を身に着けるためには、やはり“通常の薬局”ではなく”地域密着型””高度薬学管理型”薬局で勤務し知識を習得することが不可欠である。現状では、高度薬学管理型薬局の有力候補は、敷地内薬局であり、地域密着型薬局とは、病院や緩和ケアに注力している施設を受けている薬局である。この二種類の薬局の多くは大手調剤または、地域密着の中堅薬局が保有しており、今後もその流れは続くであろう。

 

M&Aを通じた独自性の共有

 

前述のとおり、大手調剤は、新卒薬剤師の7割を囲っており、いずれは彼らも新卒薬剤師を選ぶ時代が来るであろう。すると必然的に優秀な薬剤師は大手に集まり、そして薬局の質が高まる。薬局の質が高まると人が集まる。こういった好循環に大手は既に入っているのかもしれない。

 

だから今後、薬局オーナーとして自分たちも独自性もった薬局になるのか、そういった独自性を持つ薬局と手を組みノウハウを得るのか、今まさにそういった決断を求められているのでないか。

業界再編部 調剤薬局業界支援室

永田 雄嗣

1989年、愛知県生まれ。横浜国立大学工学部卒。入社以来、調剤薬局業界を専門にM&Aによる成長戦略、事業承継支援に取り組む。群馬県・千葉県・山口県・福岡県・大分県・宮崎県・佐賀県・熊本県・鹿児島県・長崎県・沖縄県の調剤薬局を担当している。

1989年、愛知県生まれ。横浜国立大学工学部卒。入社以来、調剤薬局業界を専門にM&Aによる成長戦略、事業承継支援に取り組む。群馬県・千葉県・山口県・福岡県・大分県・宮崎県・佐賀県・熊本県・鹿児島県・長崎県・沖縄県の調剤薬局を担当している。