住宅・不動産・設備工事業界

【リフォーム業界】企業価値を高める戦略とは ― iOffice 代表取締役 五十棲剛史

企業価値を高める戦略とは(1)

中小企業の経営者にとって、自社の評価は“経営者自身の評価”といっても過言ではありません。

評価項目として代表的なものが、以下のような項目です。

 

・売上高

・利益

・企業価値

 

売上高や利益は自社の決算書で確認できますから、経営者であれば当然目にする機会も多いと思います。しかし企業価値は、顧問税理士等に算定してもらわない限り、目にする機会は少ないのではないでしょうか。

 

私も以前コンサルティングをしていた頃、経営者からよくこんな相談を受けました。

「自分の会社を今借りに売るとしたら、いくらで売れるのか?」と。

 

ところがこの企業価値、M&Aを考えるなら高くしたいのですが、親族に事業承継をするなら相続税問題があるので下げたほうが承継しやすいのです。

 

当時、私は変な仕組みだと思っていました(案の定、最近事業承継税制ができ、株式の承継は限りなく無税でできることになっています)。

 

ですのでここでは、「企業価値を高めることが経営者の大きな評価」という視点で話を展開したいと思います。

 

この企業価値、上場企業やベンチャーでは、時価総額とニアリーイコールで語られます。細かく見れば違う点も多いのですが、ここではニアリーイコール企業価値(時価総額)ということにします。

 

ところで会社には、売上の割に企業価値(時価総額)が高くなる事業・ビジネスモデルと、そうでない事業・ビジネスモデルがあるのをご存知でしょうか?

 

この建設不動産業界大手3社の数字を見てみましょう。

 

・積水ハウス   売上高 2.16兆円   時価総額 1.24兆円

・大林組     売上高 1.90兆円   時価総額 8,030億円

・三菱地所    売上高 1.19兆円    時価総額 2.76兆円

 

積水ハウスや大林組の主力事業である建設業は、一つの案件が非常に大きく、受託型の売り切りビジネスです。対して、三菱地所の最大の収益源はいわゆるビル等の継続型の家賃収入です。

 

例えばゼネコンは、今年大きなビルの建設の受注をしても、来年も同じような受注を獲得できるかはわかりません。一方、家賃収入が継続的に得られるビジネスは数年単位での契約が多く、その期間は収益が安定します。

 

前者をフロービジネスといい、後者をストックビジネスと言います。企業価値(時価総額)はストックビジネスの方が高く評価される傾向があります。

 

リフォーム事業は、多くが受託型のフロービジネスですから、一般的には売上の割に、企業価値は低く評価されがちです。

 

企業価値を高める戦略とは(2)

 

私は経営者の仕事は大きく分けて3つあると思います。

 

(1)売上(粗利)を継続的に上昇させること

(2)企業価値(時価総額)をアップすること

(3)優秀な後継者に会社を承継すること

です。

 

この中で、⑴と⑶について意識している経営者は多いのですが、⑵の企業価値の上昇について意識しているのは上場企業やベンチャー経営者くらいで、中小企業の経営者は、日頃意識されていないでしょう。

 

しかし経営者としての頑張りのご褒美は、高い企業価値によってもたらされます。企業価値を高めたいと思われるなら、真剣にストック型のビジネスを検討されることをお勧めしています。

 

では、住宅不動産業界向けで、ストックビジネスとはどんなものがあるでしょうか?

代表的なものとして、不動産投資による家賃収入や不動産管理会社などがあります。

 

例えば不動産管理会社などは、売上規模が決して大きくなくても企業価値が高くなり、M&A市場でも人気で、売り出せばすぐに買い手がつくと言われているビジネスです。

 

とはいえ不動産投資も不動産管理も競争の激しいビジネスなので、スケールさせるには多少の資金力と時間が必要です。

 

そんな中、私が一押しでお勧めしているのが新電力小売りビジネスです。

2016年4月新電力の小売りが自由化されました。電力の自由化以後すでに様々な業界から新規参入があり、すでに500社は新規参入されています。

 

しかし電力市場は、国内で16兆円もある巨大市場です。リフォーム、注文住宅合わせた市場規模より大きいとされています。ですからこれからでも十分大きなビジネスに発展する可能性があります。

 

最初は、リフォーム新築等のOB客、社員、外注先等から始め、徐々に広げていきます。1万ユーザーを獲得すれば、年間売上15億円程度、営業利益も1億円近くは見込めるビジネスです。

 

しかも典型的なストックモデルのビジネスで、解約も少なく、毎月新規の獲得数がほぼそのまま積み上がるビジネスです。

 

また日本の電力は品質が安定しており、いざという時に東京電力などが動くということが法律上決まっています。

 

電力のプロがいなくても、サポートしてくれる会社と組めば、少人数で始められ、初年度から十分に利益を計上できるビジネスなのです。

 

 

 

執筆者紹介 株式会社iOffice 代表取締役 五十棲 剛史 氏

京都生まれ。大手百貨店、コンサルティング会社を経て、1994年船井総合研究所入社。入社以来クライアントの業績アップ技術には長けており、「行列のできるコンサルタント」として、船井総研全コンサルタントの中で、11年連続コンサルタント実績NO.1など不滅の記録を数々樹立。その後、船井総研ホールディングスの事業開発取締役として、アドテク等の新規事業を手掛け全て成功に導いている。2018年3月24日退任後、「世界に通用するスタートアップ企業をつくる専門に支援をしたい」という思いで、iOfficeをスタート。