住宅・不動産・設備工事業界

【住宅・不動産業界M&A事例】10年後も成長し続ける為に、上場グループ入りを決断

【譲渡企業様】

企業名

株式会社VALOR

業種

不動産仲介・管理

売上(M&A当時)

約4億円

オーナー様のご年齢

46歳

 

譲渡オーナープロフィール
北折 勝美氏
愛知県出身。高校卒業後大手不動産賃貸会社での勤務を経て、不動産賃貸仲介会社を設立。

その後46歳の時に会社の譲渡を決断された。譲渡後は不動産に係る総合コンサルティング業にて、企業研修、セミナー講師をこなしている。

 

【譲受企業様】

企業名

A社

業種

不動産管理

売上(M&A当時)

約100億円

オーナー様のご年齢

44歳

株式会社VALORの概要とM&A検討前の状況

会社設立の経緯

大手不動産賃貸会社で営業職として勤務されていましたが、神奈川県支社設立に際し、神奈川へ転籍され営業責任者として店舗開発、社員教育にも従事されていました。

その後2004年に33歳で同社常務取締役に就任され、同年に社員が安心して永く働ける会社を自分で立ち上げたい、との思いでVALOR社を創業、設立されました。

 

M&A検討前に考えていたこと

人件費と広告費に多くのコストが割かれる不動産業界において、資金面ではどうしても大手不動産会社に太刀打ちできないので、営業力の強化に注力して成長してこられました。

しかし創業10年を超えたあたりから採用が難しくなっていること、店舗拡大の厳しさなどから、自助努力での安定的成長に限界を感じるようになりました。

会社が安定的に成長し続けられなければ、目標としている「社員が安心して永く働ける会社」にはならないと悩むようになりました。

 

安定的に成長し続ける為に必要なこと

北折氏は、安定的に成長し続ける為に必要なことは、「資金力」と「人材」の2つだと考えていました。

黒字経営でも銀行借入れを増やしていっては安定しません。また、優秀な人材の採用・育成にかけるコストと時間がないという現実に直面し、だんだんと中小企業として単独で経営していくことの限界を感じるようになっていきました。

 

M&Aの検討と決断に至った経緯

M&Aを検討するに至った経緯

M&Aについてはニュースで聞いたことや、以前興味を持ってご自身で調べたられたこともあったそうです。

そのため、M&Aは会社が成長するための選択肢の一つという認識はお持ちであったものの、当時は、大企業が対象の話であって中小企業は対象にならないと思っていた、とのことです。

そこでインターネットで「中小企業 M&A」と検索され、結果に出てきた日本M&Aセンターにご相談にいらっしゃいました。

 

事業承継の選択肢

当時北折氏は45歳で、その後も自分で経営していくことが可能な年齢でしたが、M&Aについて相談をされた上で、今後の会社の経営について考えれば考えるほど、自助努力で成長し続けるにはあまりに課題が多いことに気付きました。

また息子様はいらっしゃらず、会社の幹部社員たちも次期経営者として太鼓判を押せる人材はいらっしゃいませんでした。

そもそもこの状況を打開せずして親族や社員に事業承継を行っても会社の安定的成長は不可能であったことから、M&Aによる第三者への譲渡を真剣に検討されるようになりました。

 

 

【図1】北折様における事業承継の選択肢

複数の選択肢がある内が決断のタイミング

北折様は、体調を崩したり業績が悪くなってしまえば廃業しか選択肢が残らなくなってしまう、そうなる前に決断をしなければならない、と強く思いました。

 

そこで黒字経営かつ、ご自身がまだ経営していける年齢であったタイミングで、M&Aについて考えることで、様々な検討を重ねた上で決断をでき、会社もベストな状態で譲渡することができると考え、早速日本M&Aセンターへの相談を決めました。

 

日本M&Aセンターへのご相談

北折様ははじめ、そもそも相談に乗ってもらえるのか、また自社の事業規模で、本当にM&Aが出来るのかということを非常に心配されていました。

しかし早い段階で100社近い想定候補先のリストが出てきたこと、またコンサルタントから言われた「嫌なら途中でやめればいい」との言葉でお相手探しを行うことを決断されました。

 

実際にお相手探しへ

お相手先の希望

北折様が相手先に求めた条件は大きく2つありました。

1 : 会社規模+資金力+安定性
2 : 今までのやり方で仕事を続けられること。

社員が安心して、永く働けて、待遇の上がる会社にしたいという目的でのM&Aであること、また譲渡後にやり方が変わって社員が混乱するのは避けたかったことから、上記の2つの条件を求めることにしました。

 

譲受企業様との出会い

当初提示された候補先リストでは、全く知らない会社であったとの理由で、A社には提案NGを出していました。

しかしA社社長の強い熱意と、両社のエリアシナジー(VALOR様は神奈川県横浜市で展開、A社は東京都で展開)が見込めると考え、面談をしてみることになりました。

一度目の面談では、北折様のご長男にもご同席頂き、両社の紹介と、VALOR様から今回譲渡を検討するに至った経緯を、反対にA社から譲受に興味を持たれた理由をお話しいただきました。

二度目の面談では一緒になられた際のビジョンや事業上の相乗効果などについて話をして頂き、そこでA社社長より「黒字だし、取引先もいいし、今までどおりの経営・運営でいい」とのお話がありました。

北折様は、M&Aというのは、「一緒になってどんどん相乗効果を発揮してお互い発展していくものだ」と考えられていた為に、その場では腑に落ちなかったそうです。

しかしその後考えていく中で、「M&Aをしたからといってすぐに、譲り受けた企業をどうこうする必要がない」ということに気付かれ、先に進んでいくことを決断されました。

 

A社への譲渡を決断された決め手

A社社長からは雇用条件・仕事のやり方はそのまま引き継ぐという説明があり、何よりマザーズに上場しているA社と一緒になることで、「社員が安心して永く働ける会社」を実現できると確信し、話を進めることに決められました。

A社社長とはM&Aに向けた交渉過程で意見がぶつかることもあったそうですが、両者とも「このM&Aを実現させて社員と共に更なる発展を目指す」という熱意がゆるがなかったことで無事成約まで漕ぎつけられました。

 

M&Aを振り返って

北折様は2年嘱託で、役員ではない会長として籍を置かれることとなりました。

しかし引き継ぎは一か月で終わり、出社する必要がなくなったとのことで、社長がいなくても回るような会社作りを心掛けてきたことが結果として現れたといえます。

会社としては、採用力の向上を感じられたとのことです。上場企業のグループ会社になったことで、以前より応募してくる人の数が増え、多様性も出てきたとのことで、ここが向上したのは会社の未来を見据えた上で大きな効果であったと振り返られています。

北折様個人としては、M&Aがなければ間違いなく今も以前と同じ仕事を続けていて、家族の時間を持てないまま時が過ぎていったと思われています。

お父様が体調を崩した時も、仕事に追われ何もすることができず後悔された経験があり、M&Aのおかげでご両親への恩返しができるようになった他、家庭や趣味にも多くの時間を割くことができるようになりご満足頂いたとのことでした。

また従業員の方やお取引先からは当初、寂しさや疑問の声が上がり、理解していただくことができない方もいらっしゃったそうですが、丁寧に個別面談などを行い、「仕事、待遇など何も変わりない」ということをお分かりいただいたそうです。

 

中小企業の経営者にとって事業承継は使命のひとつであり、手段、お相手を選べる時がタイミング。選べなくなったら交渉ではなくお願いになってしまう。と北折様は振り返っていらっしゃいます。

業界再編部 IT業界支援室

岡部 諒平

東京都出身。慶應義塾大学経済学部卒業後、日本M&Aセンターに入社。
大学時代に運送業を起業、経営。入社以来、ITソフトウェア業界を専門として中堅中小企業のM&Aの支援に従事している。

東京都出身。慶應義塾大学経済学部卒業後、日本M&Aセンターに入社。
大学時代に運送業を起業、経営。入社以来、ITソフトウェア業界を専門として中堅中小企業のM&Aの支援に従事している。