住宅・不動産・設備工事業界

【建設工事業界M&A事例】早めの決断でゆとりある相手探しが実現

【譲渡企業様】

 

企業名

栄信電気工業

業種

電気工事業

   
   

 

【譲受企業様】

 

企業名

マイスターエンジニアリング

業種

・半導体装置、自動車向け主力の技術者派遣
・ビル、ホテルなどの施設メンテナンス

売上

19,528百万円(2019年3月期連結)

   

 

 

譲渡企業様の概要とM&Aの検討理由

 

栄信電気工業様のご紹介

 

栄信電気工業様は埼玉県さいたま市で電気工事業を営む企業です。学校、病院、サッカー場など幅広い物件の施工実績のある有力企業です。

 

代表者の坂田様は義父様から事業を承継したのち、経営にゆとりの持てる企業にすべく利益率・財務の改善を実現してきました。

 

 

M&Aを検討するに至った背景

 

坂田様ご自身が50歳を迎えたときに、次なる会社のビジョンと事業承継問題について考えるようになり、様々な選択肢を考え始めました。

 

そのような中、中小企業家同友会で物流会社を譲渡した女性経営者のお話を聞き、M&Aにご関心を持ち、セミナーの参加や株価の評価をしてみることにしました。

 

株価のご相談をいただいた当社コンサルタントと様々なディスカッションをする中で、現在は下請けという立ち位置だが、大手と組むことによって元請に近いところになり、M&Aをきっかけに建設業のヒエラルキーを変えられるのではないかと思うようになりました。

 

また坂田社長が周りの経営者を見てみると、事業承継に困っている社長が多く、ご自身・会社のリスク管理を考え、気持ち的に余裕をもって進められるうちに、M&Aの検討に着手しようと考えるようになったのです。

 

 

候補企業選定にあたってのご要望

 

お相手探しをされるにあたっては、「ここへの提案はやめてほしい」という以下2点のご要望をお伝えいただきました。

 

①同業者

お互いのアラが見えやすく、お互いを尊重するのに時間がかかるのではないかと考えたためです。

 

②東京進出のために検討する先

同社の経営がうまくいかないときに引き上げられると困ってしまうことと、埼玉と東京では市場性が異なるため、その点を理解していただく必要がありました。

 

その前提をもとに当社から、坂田様へ約50社ほどの候補先リストをご提示し、提案活動を開始することとなりました。

 

 

譲受企業様の概要とM&Aの検討理由

 

上場企業が候補先に

 

提案活動を開始すると、関心を示した先は上場会社でした。マイスターエンジニアリングというビルメンテナンスとメカトロ事業を営む企業です。

 

ビルメンテナンスと電気工事で補完関係があるように感じ、トップ面談に進むこととなりました。

 

 

トップ面談で感じたこと

 

トップ面談では相手先の経営陣より、一緒になったときのビジョンや事業上の相乗効果などについて話を聞き、協議をしました。

 

 

その際、坂田様が違和感を感じたことがありました。それは「今までどおりでいいんです」と言われたことです。当初M&Aというのは「一緒になってどんどん相乗効果を発揮していくもの」だと思っていましたが、「今まで通りの経営・運営でよい」と言われ、その場では腑に落ちなかったのです。

 

 

しかし、マイスターエンジニアリングの経営陣は真摯にM&Aを進め、方針に共感できることが多かったこと、そして、栄信電気工業のために努力していただけると思える方々であったことから、この人たちとなら進められる、とご判断されました。

 

 

最終契約までに考えたこと

 

その後は、基本合意、買収監査、最終契約と順調に進みましたが、順調に進んだことにより、逆に坂田社長は不安を感じてしまうこともありました。

 

その中で、今後起こりうることについて、改めて家族会議も行いました。ご家族・ご親族のこと、また、従業員や取引先のこと。

 

一つ一つをシミュレーションすることで、円満なクロージングに向かって進むこととなりました。

 

 

本件M&Aで重要となったポイント

 

引退目標時期より早かったM&A

 

坂田様は60歳での引退を予定しておりましたが、想定よりも3年間早い時期でもM&Aの実現をすることとなりました。

 

家族会議などでいろいろと考えましたが、今から振り返って考えると「3年間自由に使える時間をもらえた」と考えていらっしゃるようです。

 

M&A実施後も2年間は会長職で引き継ぎをし、公私ともに順調なまま引継ぎをすることができました。

 

 

段取七分

 

坂田様は経営者の最優先課題は「事業承継」だとおっしゃっています。

 

その中で最重要なことは経営者が「決めること」です。坂田様の言葉を借りると、事業承継も現場と同じように『段取七分』が重要になります。

 

事業承継もよい結果をもたらすためには、しっかりとした準備をすることが大切で、一日でも早く準備を始めることが成功する事業承継のポイントといえます。

 

 

譲り受ける企業の心得

 

譲渡企業のお立場から、譲受企業がM&Aで成功するためのポイントを2点あげていらっしゃいます。

 

①熱意や器

M&Aで買えるのは株式や資産であって、従業員やお得意先の気持ちまでは買えません。

 

M&Aに取り組む心構えとしては、「買う」という行為ではなく、パートナーを探す、という気持ちで臨んでほしいこと。

 

②人選

新たに会社を経営する経営者の人選が重要なポイントです。

 

成功させるためには、年功序列などで人選するのではなく、会社の経営にとって望ましい人選をすることがM&Aの成功の大きなポイントであり、本M&Aにおいても適切な人物が派遣されたため、事業承継が成功した要因といえます。

業界再編部 副部長 建設・住宅・不動産業界支援室 室長

西田 賢史

一橋大学経済学部卒業。
2008年日本M&Aセンター入社以降、中堅・中小企業のM&A仲介に従事。上場企業専門の部署にて、買収から子会社の売却まで幅広い資本政策を支援した後、現在は業界特化型の業界再編部にて、建設・住宅・不動産業界の責任者として多くのM&A成約に取り組む。

一橋大学経済学部卒業。
2008年日本M&Aセンター入社以降、中堅・中小企業のM&A仲介に従事。上場企業専門の部署にて、買収から子会社の売却まで幅広い資本政策を支援した後、現在は業界特化型の業界再編部にて、建設・住宅・不動産業界の責任者として多くのM&A成約に取り組む。