住宅・不動産・設備工事業界

【不動産業界M&A事例】地域No.1の不動産企業の社長が、会社をM&Aで譲渡した理由

【譲渡企業様】

企業名

株式会社ジャパンマーケティング

業種

不動産売買・リノベーション・賃貸管理仲介

売上(M&A当時)

約15億円

オーナー様のご年齢

関社長 42歳

 

【譲受企業様】

企業名

株式会社ひらい

業種

木材流通・木造建築・不動産・リフォーム

売上(M&A当時)

約200億円

従業員数(M&A当時)

約380名

 

M&Aは、身売りではなく、組む相手を選ぶことである

かつてM&Aといえば、身売り、買い叩かれる、といったネガティブなイメージが先行していました。

 

テレビやメディアでは、(実際にはほとんど成約事例のない)敵対的買収などが取り上げられ、“地域に根付く優良中小業 VS 利益至上主義のファンド”などの構図でM&Aが描かれることもありました。

 

しかしながら、この10年でそのイメージは大きく変わり、今では企業の成長戦略のひとつの手段としてポジティブなイメージになってきたように思います。

 

その結果、近年は30~40代の経営者から、「会社を成長させるためにM&Aをして大手と組みたい」などの積極的なご依頼をいただくことが増えてきました。

 

これはすなわち、「組む相手を選ぶ」というひとつの経営戦略であり、譲渡企業主導のM&Aといえるでしょう。

 

今回は40代の社長が、会社と業界の将来を考え、早い段階で大手のグループ入りを選択したケースをご紹介します。

 

はじめは上場を視野に創業

関社長は大学卒業後、賃貸管理会社に勤務、経営者をしていた父親の影響もあり、2013年、29歳のときに独立しました。

 

はじめは、ノウハウがあった賃貸管理事業からスタートしましたが、“千葉県を代表する不動産企業を作り上場を狙う“ことを目指し、(中古マンションを自社で買取り、付加価値を付けて販売する)買取リノベーション事業をスタートしました。

 

当時は、ビジネスモデル自体があまり認知されておらず、苦戦しましたが、“細かい汚れやキズがないように”丁寧なリフォームを心がけ、創業10年で利益は1億円を超えるにまで成長しました。

 

 

急成長に社内体制が追いつかないジレンマ

2013年に東証1部に上場したオープンハウスをはじめ、数多くの不動産業者が上場を果たす中、関社長は焦りを感じていました。

 

一方でこれ以上の規模拡大をするためには、社内の組織体制を整える必要がありましたが、特に人材確保の面で課題がありました。

 

例えば、事業規模が一定規模に達すると、財務管理(資本政策やファイナンスなど)がより重要になってきます。買取リノベーション事業の場合、ビジネスは物件の買取から始まるため、銀行借入が必須です。

 

当社は年間60件仕入れていましたが、60件仕入れるためには、検討は少なくとも倍の120件をこなさなければなりません。

 

それだけの投資判断とキャッシュフロー管理ができるCFO的人材は、そう簡単には見つかりませんでした。

 

また、不足してくるのはCFO的人材だけではありません。仲介規模を拡大していくと、店舗出店が必要になってきます。

 

そうすると、各店舗には、本部(社長・経営者)との意思疎通のでき、かつ店舗の数字や人事を管理できる、マネージャーが求められます。

 

当社の場合、4店舗出店していましたから、4人のマネージャーが必要でしたが、教育するための時間は限られていました。無理に店舗拡大をすると統制が利かなくなり、サービスの質も落ちていく、といった問題に悩みました。

 

こうしたことから、単独で上場を目指していくよりも、資本力のあり教育もできる企業と組むことで、企業が成長するための基盤を整備して、上場を目指していくべきだと考え、M&Aを選択されました。

 

候補先選定・シナジー

候補者探しをするにあたり、以下4点を条件にして、150社のロングリストから選定して選定していきました。

 

・資金に余裕がある
・教育体制がある
・社風が近い(ガツガツし過ぎず、メリハリのある)
・外部役員の登用ができる
・経営管理機能を補うことができる

 

結果、地元千葉県の建材流通・木造建築業のひらいと手を組むことにしました。
そして、ジャパンマーケティングの“営業力”にひらいの優れた経営管理機能が加わることで、相互シナジーが生まれました。

 

・借り換えによる支払利子の減少
・取扱い可能物件数の増加
・管理物件数の倍増
・経理機能の補填
・ひらいのリフォーム売上の増加

 

単独で生き残る時代から、強者連合を組むことで成長する時代へ

不動産業界では、ここにきてIT化が加速しています。5月から国交省によるIT重説の社会実験がはじまりました。

 

これだけでなく、スマートロック、VR内覧など実際に運用が始まっています。企業は、設備投資をしてこれらに先駆的に取り組めるかが問われています。

 

また、昨年ニュースになったかぼちゃの馬車事件、スルガショックにより金融引き締めが強まるという逆風が吹いています。

 

さらに、2060年には人口が8,000万人になるという試算があるように、人口減少問題も着実に迫りつつあります。業界再編の圧力がますます強くなっています。

 

先の全管協シンポジウムにて、著名なアナリストで、日本通として知られるデービッド・アトキンソン氏は「これから数十年で日本の企業数は今の半分にまで減るべきだ」と講演されていました。

 

同時に、「企業統合することで生産性は高まり、企業が強くなる」とも主張されています。

 

“集まることによって一人ではできなかったことができるようになる”、これは私たちの定義する業界再編ですが、そうした再編のお手伝いをすることで、企業の存続と発展に貢献していきたいと考えております。

業界再編部 住宅・不動産業界

山田 紘己

慶應義塾大学商学部、米国コロラド大学ビジネススクールを経て日本M&Aセンター入社。
業界特化事業部の立ち上げに参画。以来、業界再編業種を中心に、幅広い業界でM&Aを支援。現在は、住宅・不動産業界チームに所属し、同業界に係る数多くのM&Aに取り組む。

慶應義塾大学商学部、米国コロラド大学ビジネススクールを経て日本M&Aセンター入社。
業界特化事業部の立ち上げに参画。以来、業界再編業種を中心に、幅広い業界でM&Aを支援。現在は、住宅・不動産業界チームに所属し、同業界に係る数多くのM&Aに取り組む。