住宅・不動産・設備工事業界

住宅市場における業界再編(中古流通)

ソニー不動産株式会社とヤフー株式会社は、2015年11月5日に新しい不動産売買方式「おうちダイレクト」サービスを開始することを発表した。住宅不動産の売り手と買い手が市場(不動産物件データベース)に直接アクセスすることが出来るという点が、不動産仲介業者を通じて市場(REINS)にアクセスしていた従来の不動産売買形態と大きく異なる。

 

 

図1

 

 

日本は他の先進国に比べて、中古住宅の流通率が圧倒的に低い。理由としては日本人が他国に比べて“新築好き”であることや、戦後焼け野原であった日本で人口が急増し、質よりも量を求めたバラック小屋を建て、その後ライフスタイルの変化に合わせて文化住宅やLDKタイプの戸建住宅へと自宅の建て替えを頻繁行ってきた歴史がある。

 

 

図2

 

 

とは言えども、新築着工件数は減少傾向にあり、人口が減少している日本において住宅業界は慢性的な縮小市場と言える。

 

 

図3

 

 

このような状況下で、ソニーとヤフーは異業種からの新規参入を果たしたのである。戦後のライフスタイルの変化と共に住宅に対して品質を求めてきた日本において、また社会保障費を含む税負担が増加し可処分所得が減る日本において、中古市場は今後拡大市場である。ソニーとヤフーはその拡大市場において売り手と買い手を直接繋ぐプラットフォームを創ったのである。

 

ちなみにソニー不動産のリノベーションのデザインはソニー本体のデザイン部門が担っており、またソニー銀行で住宅ローンを、ソニー損保で火災保険を取り扱い、中古住宅購入時の周辺サービスをグループで幅広くカバーしている。最近ではスマートフォンで解錠できるデジタル鍵を開発するベンチャー企業に投資し、ネットワーク家電にも参入している。

 

単独では成し得ないことを、企業が集まることで実現し、業界に新たなビジネス・付加価値を創出するのが業界再編であり、惜しくも住宅産業において業界再編のリーダー候補となったのが異業種企業なのである。

 

中古流通市場に関わる企業のM&Aニーズは非常に高く、当業界の大手・中堅企業からのご相談も増えてきているが、気づかぬうちに市場を掌握されてしまうかもしれない。