食品・外食

『麵屋武蔵 ビジネス五輪書』M&Aコンサルタントが経営者に推薦する1冊

『麵屋武蔵 ビジネス五輪書』の概要

「書籍の概要について」

この書籍は、東京に14店舗をかまえる他、シンガポール、香港、台湾、マレーシア、マカオ、上海などにもパートナー企業を通じて出店しており、20年間に亘って日本ラーメン業界のトップを走る「麵屋武蔵」の若き2代目社長、矢都木二郎氏が、創業者である山田雄氏のビジネスに対する教えを基に、全てのビジネスに共通する仕事に対する姿勢や考え方、モノの見方、リーダーシップやマネジメントに至るまで、「実戦」でのヒントを記載したものになります。

 

また随所に、日本一の剣豪、宮本武蔵が記した兵法書「五輪書」を引用し、物事を成功させるか否かの分かれ道は、今も昔も何ら変わらない普遍的な哲学がある、ということを読者に教えてくれています。

 

「ビジネスの極意」

麺屋武蔵の1号店が青山にオープンしたのは1996年、世間では「ウィンドウズ95」が発売された直後で、「美味しいお店の情報」をテレビや雑誌、口コミから「インターネットで検索して情報を得る」転換期となった時期になります。

 

これにより、都内各地では行列店が多く誕生し、麺屋武蔵でも2時間待ちの大行列が出来るようになりました。

 

この時の店主であり、創業社長の山田氏の判断基準は常に「カッコいいかどうか」だったと書いてあります。「カッコいい」というのは、何も見た目が良いとかスマートだとか、そのような意味ではありません。今の自分たちの仕事が「新しいことにチャレンジしているか」「手間隙を惜しんでいないか」「よく考え込まれているか」という意味で、それらを追求することで、「自信をもって、生き生きと仕事に取り組める」かどうかが決まって来る、とあります。

 

また、「1つのことだけでもトップを取る」、「どのように生きたいか、自分はどうなりたいか、常に志を持つ」、「変化を恐れず、チャレンジし続ける」など、宮本武蔵の五輪書にも、現代のビジネスで成功するための通ずる考え方が、明確に記載されているとあります。

 

 

「サービスの極意」

第二章「サービスの極意」においては、特に飲食店を経営する上で重要かつ実践的なことが具体的に記載されています。

 

飲食店で一般的に大切にされているのは、Q(クオリティ)S(サービス)C(クレンリネス)の順番ですが、Qについて、万人を満足させられる味というものは存在せず、人によって感じ方が違う。

 

一方、麺屋武蔵「SCQ」の順番であり、不確定要素の大きなQ(味)よりも、誰もが一定程度、同一の価値観を有するS(サービスの質、活気があるかどうか)、C(店内が清潔がどうか)がQに優先する、とあります。

 

また、サービスの極意の章では、食べる前に、8割方勝負は決している、と書かれています。つまり、人間の味覚は意外と鈍感に出来ていて、脳が、これは美味しいはずだと認識した後に実際に食べると、よほどのことがない限り、美味しく感じてしまうように出来ている。

 

つまり、ビジネスの場においても、如何に準備が重要か、ということを示しており、宮本武蔵の「五輪書」にも、「敵の太刀、ひかん、はづさん、うたんと思ふ心のなきうちを打つ」(相手の心構えが出来る前に、素早く攻撃をすること)と記載されている、ということです。

 

更に、サービスの極意の章には、「1杯にして1杯にあらず(ラーメンを食べるだけの味の体験のみならず、ラーメンを通じて最高の体験をお客様にして頂き、喜んでもらう)」や、「モノを売るな、コトを売れ(ストーリーを組み立てる)」、「小さいコトを積み重ねると大きな感動が生まれる、感動は細部に宿る」など、昨今では当たり前のように叫ばれているサービスに対する考え方や姿勢を、20年前から実践していたという事実が記載されており、麺屋武蔵が創業以来、ずっと第一線を走り続けてこられた秘密を、垣間見ることが出来ます。

 

 

「リーダーの極意」「オンリーワンの極意」「人生の極意」

第二章である「サービスの極意」以降は、「リーダーの極意」「オンリーワンの極意」「人生の極意」と続いて行きます。

 

「リーダーの極意」では、チームのボトルネックを意識する、一人ずつ人を巻き込む、仕事に大事・小事がないことを徹底する、叱らずに指摘する、お互いを尊重する、指示して終わりではなく結果まで責任を持つ、などなど、より実践的で具体的な記載がなされており、麺屋武蔵の組織力の高さが、それを引っ張るリーダーシップによるものが大きいことを見て取れます。

 

また、続く「オンリーワンの極意」においては、麺屋武蔵が何故確固たるブランドを確立出来たのか、その秘密が明かされています。

 

例えば、同業のラーメンは敢えて食べに行かず、様々な業態の一流店を食べ歩き、「うまい」の経験をより多く持つことで、お客様にラーメンの枠を飛び越えた「いいもの」を提供する、イメージしてもらいたい自社の「ブランド価値」を明確にする、宣伝するより宣伝してもらえるような人脈や魅力を作る、などです。このように見ていくと、ラーメン業界の枠に止まることなく、様々な企業や商品のブランディングに共通する手法を、麺屋武蔵が実践して来たことが分かります。

 

『麺屋武蔵 ビジネス五輪書』を推薦する理由

「宮本武蔵とラーメンを掛け合わせた、非常に分かりやすく、かつ説得力のある書籍になっている」

本書は、日本人なら誰もが知っている、宮本武蔵の兵法書である五輪書を数多く引用しながら、ラーメン店の現場という、非常に身近な舞台にスポットを当てることで、とても分かり易く読み易い1冊に仕上がっています。

 

それと同時に、宮本武蔵の時代から、人を感動させ、物事を成功に導く普遍的な姿勢や考え方が存在し、それらを実践することで、いつの時代もナンバー1、オンリー1で居続けることが出来ることを証明した、具体的で実践的かつ説得力のある書籍になっているからです。

 

以上の理由から、本書を経営者に読んで頂きたい一冊に推薦致します。

業界再編部 食品業界支援室 室長

江藤 恭輔

1982年12月、宮崎県生まれ。
青山学院大学法学部卒業後、大手金融機関での法人営業を経て2015年に㈱日本M&Aセンターに入社。食品業界を専門として製造業、小売業、外食業などのM&Aに取り組む。17年は「晩杯屋」の㈱アクティブソース、「ラー麺ずんどう屋」を展開する㈱ZUNDのM&Aを手掛けた。

1982年12月、宮崎県生まれ。
青山学院大学法学部卒業後、大手金融機関での法人営業を経て2015年に㈱日本M&Aセンターに入社。食品業界を専門として製造業、小売業、外食業などのM&Aに取り組む。17年は「晩杯屋」の㈱アクティブソース、「ラー麺ずんどう屋」を展開する㈱ZUNDのM&Aを手掛けた。